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“子供部屋”を考える

  • 2019.11 |

子供にも自分の部屋を与えたいと、そう思って家づくりを決断する人は多いでしょう。

広々とした快適な部屋で子供たちがどう遊び、何を学んでどんな大人に成長していくのか、そうやって子供たちを見守り、幸せな将来を願うのは、親として当然の気持ちです。

そうなると、2階建ての家の1階にリビングダイニングと来客用の和室、2階に夫婦の寝室と子供の人数に合わせた部屋を配置するのが一般的なレイアウトに。しかし子供たちが自立して巣立って行った後、夫婦だけになった家で子供の部屋はどんな役割を担えばいいのか。夫婦それぞれ趣味や仕事の部屋として使う予定があるのならまだしも、使われなくなった荷物を押し込んで置くだけの場所や空っぽのまま部屋を放置しておくだけになるのであればそれはもったいない。

将来的に使われなくなる空間にも建築のコストはかかるし、それを維持するのにもコストと手間が容赦なくかかり続けていく。

「人数に応じた子供部屋」「来客に備えて1部屋余分に」という固定観念にとらわれてさえいなければもっと広々と設計することができたかもしれないし、家全体の床面積を削ることで階段を上がり下りせずにゆったりと暮らせる平屋にできたかもしれない。

子供が自分の部屋で1人で寝る時間は思ったほど長くはないし、年間を通して来客が泊まる機会もそれほど多くはない。それならば子供が小さいうちは子供の部屋を来客用として使えば来客用の部屋を作らずにすむ。

そんなふうに「当り前」と思っていることをひとつずつ見直してもっと広く快適に生活できる家を作っていきたい。

(住まいの提案 熊本。21号 家づくりの舞台裏  掲載)